今更きけない消費税のしくみ
こんにちは。千葉県鎌ケ谷市の税理士池田光智です。
本日、衆議院が解散され、総選挙が実施されることになりました。争点の一つに消費税増税の是非や、増税分の使い道が挙がっています。私たちの身近な税である消費税のしくみや使い道をあらためて確認したいと思います。
1.消費税は誰が払う?
消費税の納税義務者は、事業者です。
事業者は物を売ったり役務の提供をした際に、消費者から税金を預かり、国と地方に納税する義務があります。事業者は法人だけでなく、個人事業主も含まれます。
2.消費税がかからない取引はあるの?
消費税は、原則として国内で行われる取引に課税されますが、以下の取引は例外的に非課税取引とされています。
※詳しくは国税庁HPへ
①消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないもの
例)土地の譲渡・貸付け、有価証券等の譲渡
②社会政策的配慮から、課税しないもの
例)住宅の貸付、授業料、保険適用の診察料
3.消費税の税収は?
消費税の税収は、平成29年度予算で17.1兆円とされています。
消費税率8%の内訳は、国税が6.3%、地方税が1.7%です。
一般会計の歳入に占める割合は所得税に次いで2番目で、17.8%を占める重要な財源となっています。(参考:財務省HP)
4.国際的な水準はどのくらい?
2016年1月時点ではEU加盟国の平均が約21%、ASEAN加盟国の平均が約9%となっています。
総合的な税負担は各国の直間比率が異なりますので、消費税率(間接税)だけで単純比較できません。社会保障を含めた国民負担割合は財務省HPをご参照ください。
5.消費税の使い道は?
消費税収は、全て社会保障財源(年金・医療・介護・子育て支援)に充てることとされています。
平成29年度予算では、社会保障に必要な財源28.7兆円のうち、消費税収(国税部分)で13.3兆円を充てています。不足部分は他の税収や国債などで補っている現状で、社会保障関連費が年々増加し、財源不足が問題となっています。(参考:財務省HP)
社会保障4経費 国税分(28.7兆円)の内訳
①年金12.1兆円 ②医療11.5兆円
③介護3.0兆円 ④子育て支援2.1兆円
6.軽減税率はどうなる?
現状では、平成31年10月1日の消費税率10%引上げ時に軽減税率制度が実施される予定です。
次の2品目が軽減税率(8%据置)の対象となります。
①酒類・外食を除く飲食料品
②週2回以上発行される新聞
※詳しくは国税庁HPをご参照ください。
税務会計クイズ
カナダ全土共通で課される消費税は標準5%ですが、家賃や食料品(酒類、外食は×)、医療サービスなどは非課税とされています。食料品については、すぐに食べたり飲んだりすることの出来る、調理済みの食品や飲み物は課税対象とされています。ただし、上記に該当したとしても、例外的に非課税対象品とされているものがあります。
では、次のうち消費税がかからないものはどれでしょう。
①自販機で購入したメープル味のジュース
②ドーナツ10個
③アイスワイン
正解は②のドーナツ10個です。
カナダでは、ドーナツを6個以上買うと、その場では食べられないとされ、食料品扱いになるそうです。
日本でも、ユニークな軽減税率ができるのでしょうか。税理士としては処理の煩雑さに頭を悩ませてしまいますが、個人的にはラーメンを軽減税率の対象にしてほしいところです。
※カナダでは、連邦税である財貨・サービス税(付加価値税)に加え、ほとんどの州で州税として付加価値税等が課される(例:オンタリオ州8%)。