被災地支援の義援金の税務的な取り扱い
こんにちは。千葉県鎌ケ谷市の税理士池田光智です。
西日本の豪雨災害から1ヶ月余りがたちますが、土砂災害に対する復興作業はあまりに多くの時間と労力が必要で、連日の酷暑が被災者をさらに苦しめている実状が報道されています。
復興には人的及び金銭的な支援が長期的に不可欠ですので、本日は義援金を支出した側の税務的な取り扱いについてまとめました。ご参考にしていただき、支援の輪を広げることができれば幸いです。
1、被災地の地方公共団体に設置された「災害対策本部」等に対する義援金
個人 ⇒地方公共団体に対する寄附金として、ふるさと納税(※1)に該当
法人 ⇒「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入
※1「ふるさと納税」の取り扱いについては本ブログをご参照ください
2、日本赤十字社又は(福)中央共同募金会に対する義援金
個人 ⇒地方公共団体に対する寄附金として、ふるさと納税に該当(ワンストップ特例不可)
条件 同団体が被災者への支援を目的として専用口座を設けて義援金を募集している場合に、その義援金が最終的に地方公共団体に対して拠出されるものであること
法人 ⇒「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入
条件 その義援金が最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであること
3、被災地の救援活動等を行っている「認定NPO法人」に対する義援金
個人 ⇒「認定NPO法人等に対する寄附金」として支払った義援金は、寄附金控除又は寄附金特別控除の対象
法人 ⇒「特定公益増進法人に対する寄附金」に含めて損金算入限度額を計算し、その範囲内で損金の額に算入
条件 NPO法人が「認定NPO法人等」であり、支払った義援金がその認定NPO法人等の行う特定非営利活動に係る事業に関連するものであること
4、その他の募金団体を通じた義援金
条件 最終的に地方公共団体に拠出されるものであること
個人 ⇒地方公共団体に対する寄附金として、ふるさと納税に該当(ワンストップ特例不可)
法人 ⇒「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入
なお、税務署が、募金団体への義援金が、最終的に国、地方公共団体に拠出されるものであるかどうかの確認を行っていますので、寄附者は募金団体にご確認ください。
5、法人が被災された取引先に対して支出する災害見舞金
法人 ⇒全額が損金の額に算入
法人が、被災した取引先に対し、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する災害見舞金は、寄附金又は交際費等に該当せず、全額が損金の額に算入されます。
6、法人が自社製品を被災者に提供した場合
法人 ⇒全額が損金の額に算入
法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄附金又は交際費等には該当せず、広告宣伝費に準ずるものとして損金の額に算入されます。
編集後記
ふるさと納税のサイト「ふるさとチョイス」では被災地応援のページが設けられており、被災地自治体に対する寄附金額は12億円にも及んでいます。返礼品の過熱問題で、制度自体に疑問の声が寄せられる中、思わぬ形で被災者支援に大きく貢献しているようです。
被災地支援の寄附金には返礼品がありませんが、それでもこれだけの方々が利用されているわけですから、寄附がしやすくなったこと自体は歓迎できます。
支援の形は色々あると思いますが、本ブログを読んで支援を考えるきっかけに繋がれば幸いです。