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2018年版ふるさと納税「得する人 損する人」

 こんにちは。千葉県鎌ケ谷市の税理士池田光智です。
 早いもので10月に入り、今年も残すところあと3カ月を切りました。
 さて、報道ではふるさと納税の返礼品について総務省と反発する自治体の対立がクローズアップされていますが、本日は改めてふるさと納税の制度をQ&A方式で確認したいと思います。
 昨年(平成29年度)の寄付金額は3,653億円で前年の3割増、受け入れ件数は約1,730万件にも及んでいます。
 受入額で一番多かった自治体が大阪府の泉佐野市で135億円、次いで宮崎県都農町で79億円と、泉佐野市が突出して多い結果となっています。
 なぜこれほど多くの人がふるさと納税を行っているのか、制度の仕組みについて解説します。

疑問1.ふるさと納税をするとなんで得するの?

ふるさと納税をすると以下の特典があります。
特典① 寄付を受けた自治体からお礼の品(返礼品)が送られてきます。
特典② 税金(所得税・住民税)が安くなります。
 
例)千葉県鎌ケ谷市へ1万円の寄付
 → 特典①梨セット(5㎏)贈呈 + 特典②税金が8千円安くなる

解説 1万円の寄付をして、約8千円税金が安くなったので、2千円の負担で梨セット(5㎏)を手にしたことになります。
 梨セット(5㎏)は直販でも3~4千円するので、買うよりお得です。

疑問2.「ふるさと納税の上限額」とはどういう意味?

 ふるさと納税では、控除される税金の限度額が計算式で定められて、寄付者の年収が高いほど、控除される税額の限度額は上がります。
 「ふるさと納税の上限額」とは、各人のその年の収入に応じた寄付金の上限目安です。
 この寄付金額の上限以内であれば、どれだけ寄付して返礼品を受けとっても、年額2千円の実質負担で済むことになります

例)収入700万円の人の寄付金の上限額が10万円と判定された場合
    
 ①5万円の寄付をした場合 → 4万8千円税金が安くなるので、実質負担2千円
 ②10万円の寄付をした場合 → 9万8千円税金が安くなるので、実質負担2千円
 ③15万円の寄付をした場合 → 9万8千円の税金が安くなるので、実質負担5万2千円

寄付金額が多ければ返礼品の量や内容もよくなる傾向なので、上限額いっぱいで寄付した方がお得になる仕組みになっています

ふるさと納税の寄付金額の上限シミュレーションは「ふるさとチョイス」「さとふる」などのHPで簡単に確認できます。

疑問3.「ワンストップ特例」はどういう意味?

 ふるさと納税は制度導入当初は確定申告をすることが要件とされていましたが、サラリーマンのなど確定申告に不慣れな方に浸透しませんでした。
 そこで、手続きを簡略化するため、確定申告をしなくても、ふるさと納税の減税を受けることができる制度が導入されました。この制度を「ワンストップ特例」と言います。
 ただし、寄付する先の自治体が5か所以内の場合に限られますので、6か所以上の自治体に寄付する場合は確定申告が必要となります。

疑問4.「ふるさと納税の存続の危機」大臣の発言の意味って何?

 野田聖子総務大臣が、ふるさと納税制度の規制に言及したのは9月11日のことです。
「返礼品の調達価格を寄付額の3割以下とする」とした通知を守らない自治体に対して、制度の対象外にできるよう、見直すことを検討するようです。
 総務省では従前から返礼品の品物を寄付金額の3割程度の価値に抑えるよう指導してきましたが、いまだに50%超という品物も散見されるのが実状です。
 ふるさと納税制度の見直しは、早ければ2019年の通常国会に地方税法改正案を提出、可決されれば、4月から適用されることになるようです。

疑問5.ふるさと納税はどうやってやるの?

 ふるさと納税はインターネットを利用するのが一番便利な方法です。
 「ふるさと納税」と検索すれば、以下のような便利なサイトが表示されますので、ご利用下さい。
 また下記サイトに掲載されていない品物は一部のものです。各自治体のホームページには詳しく掲載されており、そこから申し込める仕組みになっていますので、調べてみてください。

さとふる https://www.furusato-tax.jp/
ふるなび https://furunavi.jp/beginner.aspx
総務省「よくわかる!ふるさと納税

疑問6.実質負担を0円にする方法ってあるの?

 ふるさと納税は、例えば「楽天」等の通販サイトでも実行することができます。
 買い物すると付与される楽天のポイントはふるさと納税の寄付額に対しても付与される仕組みになっています。
 楽天の場合、通常は100円の買い物につき、1ポイント付与されます(1ポイントは1円として使える)。つまり20万円の寄付をすれば楽天ポイントが2,000ポイント付与されるので、実質負担0円となるわけです。(寄付金額の上限が20万円以上の人の場合)
 さらに、楽天通販で買物(寄付)する際に、楽天のクレジットカードを利用した場合、ポイントは3倍つくことになっています(平成30年10月現在)。他にも各種ポイント還元率が増額するイベントがよく行われています。
 仮にポイント還元率が3倍だった場合、10万円の寄付をすれば3,000ポイント付与されるので、実質0円どころか、1,000円分得することになります。
 ふるさと納税の上限額が高い人ほど、返礼品を多く貰える上に、やればやるほどお金まで得してしまう仕組みになっているのです。

まとめ

 ふるさと納税が自治体・納税者・生産者にとっても、活用次第でいい制度になるることは理解できますが、高所得者ほど得する仕組みは租税公平主義の観点からも疑問は残ります。 また、自治体間で税収の取り合いをし、無駄な事務コストが発生し、税金の無駄遣いをしているという一面も否めません。
 実際のところ、平成29年度は3,653億円の寄付金額に対し、返礼品に約1,400億円(38%)、広報や事務コストに約600億円(17%)の税金が使われています。
 地方自治体や生産者にとっては欠かせない制度となっている一面もあると思いますが、税収がどのように使われたのかをチェックするのも忘れてはいけません。
 自治体によっては税金の使途をHPで公開していますので、寄付した先の自治体のHPを確認してみてください。

 最後までお読みいただきありがとうございました。以前、別のブログでも本題材について書きましたので、併せてご参照ください。
 ブログ「知らないと怖い?ふるさと納税のしくみ

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