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確定申告

青色申告のすすめ

 こんにちは。千葉県鎌ケ谷市の税理士池田光智です。
 1月も後半、いよいよ所得税の確定申告(3/15)のシーズンとなります。
 本日は、個人事業を始める前に必要な準備についてのまとめです。事業を営む上で、知っていないと損する税務知識をしっかりおさえておきましょう。

1.個人事業を開始する際に必要な届出は?

(1)開業届 

 新たに事業を開始したときは、事業の開始等の事実があった日から1月以内に、開業届を提出する必要があります。
 対象となるのは、事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方です。青色申告をするためには必要な届出になりますので、忘れずに提出しましょう。

(2)青色申告承認申請書 

 青色申告の承認を受けようとする場合は以下の期日までに手続きが必要です
 1/1~1/15までに開業する場合…その年の3/15まで
 1/16以降に開業する場合…開業した日から2ヶ月以内

≪相続により事業を承継した場合≫
 死亡の日がその年の1/1~8/31までの場合 … 死亡の日から4ヶ月以内
 死亡の日がその年の9/1~10/31までの場合 … その年の12/31まで
 死亡の日がその年の11/1~12/31までの場合 … その年の翌年の2/15まで

(3)青色事業専従者給与に関する届出

 青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする場合は以下の期日までに手続きが必要です
 1/1~1/15までにいることとなった場合…その年の3/15まで
 1/16以降にいることとなった場合…いることとなった日から2ヶ月以内

(4)給与支払事務所等の開設の届出

 給与の支払者が、国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設、移転又は廃止した場合には、開設、移転又は廃止の事実があった日から1ヶ月以内にその旨を所轄税務署長に対して届け出る必要があります。
個人事業主で開業届を出している場合は、割愛することができます

(5)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を行うための手続です。
 源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっていますが、この申請をおこなうことで、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金について源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」)を、次のように年2回にまとめて納付できるという特例制度を受けるために行う手続です。

 1月から6月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税等 … 7月10日
 7月から12月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税等 … 翌年1月20日

※承認を受けられるのは、給与の支給人員が常時10人未満である事業主となります。 

(6)所得税の減価償却資産の償却方法の届出

 新たに事業を開始した事業主が減価償却の償却方法を選定する場合の手続です。
 個人事業の場合、届出をしないと、すべての減価償却資産につき定額法が適用されます。
 平成28年4月1日以後に取得した建物、建物附属設備及び構築物の償却方法は定額法に限ることとされていますので、それ以外の資産を取得し、かつ早めに償却して経費にしたい場合は、確定申告期限までに提出することで、別の償却方法を選択することができます。

 

2.青色申告制度とは? メリットと要件

(1)メリット

青色申告の主なメリットは以下の通りです

①青色申告特別控除(税金が安くなる)
 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除することとされています。
 また、それ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得 を通じて最高10万円を控除することとされています。

②純損失の繰越しと繰戻し(損失を利用して税金が安くなる)
 事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
 また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

③減価償却の特例(経費を前倒しで付けれる)
 取得価格が30万円未満の少額減価償却資産を取得した場合は、単年度で一括償却することができます。また、そのほかにも租税特別法で規定する各種特別控除や特別償却の適用を受けるためには青色申告をしていることが要件となっています。

④貸倒引当金の設定(支払ってない経費を計上できる)
 事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものです。ただし、金融業の場合は 3.3%になります(一括評価)。

⑤青色専従者給与の経費算入(身内への支払いを経費にできる)
 青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。

(2)青色申告の要件

①65万円の青色申告特別控除
 この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。
 A)不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
 B)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
 C)Bの記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。

(注)
1 現金主義によることを選択している人は、65万円の青色申告特別控除を受けることはできません。
2 不動産所得の金額又は事業所得の金額の合計額が65万円より少ない場合には、その合計額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。
3 不動産所得の金額、事業所得の金額から順次控除します。

②10万円の青色申告特別控除
 この控除は、上記1の要件に該当しない青色申告者が受けられます。

(注)
1 不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の合計額が10万円より少ない場合には、その金額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。
2 不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額から順次控除します。

 

3.青色専従者給与とは? メリットと要件

 専従者給与とは、生計を一にしている配偶者その他の親族が、納税者の経営する事業に従事している場合に支払う給与をいいます。 
 通常は親族間の金銭のやり取りは、必要経費として認められませんが、一定の要件を満たす場合に必要経費に算入することができます。

(1)メリット

 白色申告の場合、事業主の仕事を家族が手伝っていたとしても、認められる控除額は以下の通りです。
 専従者が事業主の配偶者 … 86万円
 専従者が配偶者以外 … 一人につき50万円
 青色申告の場合は、親族に対する報酬であっても、届出の範囲内で適正な額であれば、支払った金額がすべて経費として認められます

(2)要件

①青色事業専従者に支払われた給与であること
 青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。
 A)青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
 B)その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
 C)その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

②「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること
 この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっています。
 また、専従者が増える場合や、給与を増額する場合など、届出の内容を変更するためには、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

③届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること
 範囲内なのでぴったり支払う必要はありません。

④青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること
 過大とされる部分は必要経費とはなりませんので、実態以上に給与を支払うと否認されるリスクがありますのでご注意ください。

 

まとめ

 事業を開始する際の税務上の手続きは期日がありますので、届出遅れがないよう事前に確認しておきましょう。
 また、開業時には税務手続き以外にもたくさんやることとはあるので、事業の流れをしっかり計画しておくことが必要です。
 税理士の立場としては事業計画書を作成することをお勧めします。
 事業計画書をベースに4W2H(「何を」「誰が」「いつまでに」「どこで」「どのように」「いくらで」しなければならないのか)をしっかりと詰めておけば、届出忘れなど余計なトラブルを回避し、事業に専念することができます。
 また、予定通りいかない場合は事業計画書が原因解明や業務改善の手助けとなります。
 事業を始めたいけど何からしていいのかわからない方や不安な方は、是非一度お早めにご相談ください。

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