中小企業の賃上げを促進!所得拡大税制の拡充
こんにちは。千葉県鎌ヶ谷市の税理士池田光智です。
本日は、中小企業の賃上げを支援する税額控除制度の変更点についてご紹介いたします。
平成29年度税制改正で、所得拡大税制の支援制度が大幅に拡充されることになりましたので改めて確認します。人手不足で人件費の増加に苦しむ社長や、会社の成長に伴い雇用を拡大している社長は自社に適用がないかご確認ください。
1、所得拡大税制とは
そもそも所得拡大税制とは次の3要件を満たす企業に対して、基準事業年度(*1)の総支給賃金から当事業年度の総支給額が増加した分の10%の金額を本来納付する法人税額から控除できる仕組みです。
要件
(1)基準事業年度から3%以上増加(*1、2)
(2)給与等支給額の総額が前事業年度以上
(3)平均給与等支給額(*3)が前事業年度の平均給与等支給額を上回る。
これまでに適用を受けていれば法人税の申告書の別表1(1)の3「法人税額の特別控除額」の欄に控除金額の記載がありますので、ご確認ください。
(*1)基準事業年度 平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日の前日を含む事業年度をいいます
(*2)平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度については4%以上(中小企業者等については3%以上)、平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度については5%(中小企業者等については3%以上)
(*3)平均給与等支給額は、継続雇用者(適用を受けようとする事業年度及び前事業年度において給与等の支給を受けた国内雇用者)に対する給与等の支給額や雇用者数を用いて計算します
2、今回の拡充措置の内容は
平成29年度からは、上記要件のうち③平均給与等支給額が前事業年度比2%以上増加すれば、前事業年度からの増加額について22%の金額を本来納付する法人税額から控除できることになりました(12%の上乗せ)。ただし、基準事業年度から前事業年度までの増額分については現行通りの10%控除ですのでご注意ください。
適用期間 平成25年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度
所得拡大税制は上記のほかにも細かい要件があり、専門家でも判定が難しい制度です。また、税務調査で否認されるとインパクトが大きいので、比較的リスクは高いといえます。適用にあたっては、顧問税理士とご相談のうえ、慎重にご活用ください。