新設法人必見!「設立チェックリスト」
こんにちは。千葉県鎌ケ谷市の税理士池田光智です。
暖かい春の季節を迎え、新年度から新たな事業に取り組まれる方もいらっしゃるかと思います。
本日は、新設法人の社長を対象に、設立時に必要な取り組みについてチェクリスト形式でまとめましたので、ご活用いただければ幸いです。
1、税務関係の届出
□ 法人設立届
所轄税務署、県税事務所、市町村の3か所に提出が必要です。
□ 青色申告承認申請書
青色申告の特典の代表的なものとして、欠損金を9年間繰越控除※することができる制度があります。
その他にも各種税額控除規定など、節税に繋がる特典がありますで是非ご提出を検討下さい。
※平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年とされています。
□ 給与支払事務所の開設届
法人は給与を支払う場合、所得税の源泉徴収義務が発生します。
例え、社長1人の会社でも役員報酬に対して源泉徴収義務がありますので、届出が必要となります。
□ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
源泉所得税の納付期限は原則、給与等を支払った月の翌月10日です。
納期の特例の承認を受けると、半年に1回まとめて収めることができます。
1月~ 6月分 :7月10日
7月~12月分:1月20日
□ 消費税の課税事業者選択届出書
資本金1,000万円未満で設立した場合、1期目は基本的に消費税が免税事業者となります。(一部対象外があります)
輸出業などで還付を受けるため1期目から課税事業者を選択したい場合は、課税事業者選択届出書を事業年度終了時までに提出することで、課税事業者を選択することができます。
2、社内決定事項
□ 役員報酬決定議事録
役員に対する報酬は定期同額給与である必要があります。また、年に1回、限られた期間にしか変更が認められていません。
さらに、不相当に高額な役員報酬は税務上否認されます。否認されないためには株主総会等で予め報酬額を決定し、議事録を作成・保存しておく必要があります。
□ 出張旅費規程
法人の場合は出張手当を非課税所得として社員に支払うことができます。
合法的に認められる節税となりますので、社会通念上認められる範囲内で規定を策定しましょう。
□ マイナンバーの取り扱い規定
年末調整や社会保険の手続きで、従業員の個人番号(マイナンバー)を収集する必要があります。
従業員のマイナンバーを取り扱う際には、管理方法等を厳格に定めておく必要があります。
□ 賃貸借契約書&個人事業の届出
自宅で開業された方は、事務所の賃借料として家賃を法人から社長個人に支払うことができますので、賃貸借契約を交わしましょう。
また、社長に賃料を支払う場合は、金額の多寡にかかわらず個人の確定申告が必要となります。
個人事業の開業届と青色申告承認申請を忘れずに提出しましょう。
3、社会保険の手続き
法人は社会保険への加入が義務付けられています。社会保険は、健康保険・介護保険・厚生年金などの社会保険と労災保険・雇用保険などの労働保険に分類されます。それぞれについて以下の手続きが必要とされています。
また、定時の届出に加え、従業員やその扶養家族の異動時や賞与支払時の都度、手続きが必要となりますので、従業員が増えてきたら、手続きの外部委託を検討することをお勧めします。
□ 健康保険・厚生年金保険新規適用届
□ 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
□ 健康保険被扶養者(異動)届
□ 保険関係成立届
□ 概算保険料申告書
□ 雇用保険適用事業所設置届
□ 雇用保険被保険者資格取得届
4、雇用関係
従業員を雇用するにあたっては主に以下の準備が必要です
□ 就業規則(10人以上の労働者を使用する使用者は作成を義務付けられています)
□ 扶養控除等(異動)申告書
□ 雇用契約書
□ 誓約書
□ 通勤経路報告書
□ 身分保証書
□ 給与の締め日と支給日の決定
□ 給与明細もしくは給与ソフトの準備
□ 社会保険労務士との顧問契約(必要に応じて)
5、経理関係
会社がスタートしたら、日々の記帳業務や、支払・入金管理などの経理業務が必要となります。
□ 領収書・請求書の保存(7年~10年)
□ 帳簿の作成(会計ソフトの導入)
□ 自社発行の請求書・領収書の準備
□ 従業員の源泉所得税・住民税の徴収と納付
□ 決算申告と納税
□ 税理士との顧問契約(お勧め)
6、その他
□ 法人保険の加入検討
□ 車両保険の引継ぎ
□ 小規模企業共済・中小企業倒産防止共済の加入検討
□ 経営力向上計画の申請
□ 補助金の申請(創業・雇用関係助成金)
□ 創業融資申し込み
□ 事業計画書の作成
編集後記
事業スタート時は補佐してくれる従業員がいればいいですが、コストを考えるとそのために従業員を雇用するのも難しいと思います。一方で、手続きなどの庶務は従業員に任せ社長は本業に徹するのが本来は効率的です。
税理士はその両方を解決してくれる1つの手段です。税務関係の手続きだけでなく経営そのものの相談役として税理士を有効に活用することで、スタートダッシュを実現することが可能となります。
設立が法人成りの場合は本ブログもご参照ください。